経営者の心を動かす営業の秘訣
「うちの営業担当者、なかなか経営者や役員クラスの決裁者に響く提案ができないんだよな…」
「現場レベルでは好感触でも、いざトップに話が上がると、なぜか受注に至らないことが多い…」
このような悩みを抱えるマネージャーは少なくありません。どんなに素晴らしい商品やサービスを持っていても、最終的な意思決定権を持つ人物の心を動かせなければ、契約というゴールテープを切ることはできません。
なぜ営業担当者の言葉が経営者層に届かないのか、その根本的な原因と解決策をご紹介します。
経営者と営業担当者の「3つのズレ」
視座のズレ(見ている高さが違う)
経営者は会社全体、事業全体、時には業界全体や社会全体の動向までを見渡し、自社の生存と成長を考えています。一方、担当者は自分の担当業務や個人の目標達成が主な関心事です。
視野のズレ(見えている範囲が違う)
経営者は数年先、時には10年、20年先を見据え、国内市場全体やグローバル市場までを視野に入れています。担当者は今月、今四半期の目標達成や、自分の担当エリアという限定的な範囲で考えがちです。
視点のズレ(見ている角度が違う)
経営者は独自の経験や哲学から来る「視点」を持っています。また「売り手」と「買い手」という立場の違いも、互いの理解を難しくしています。
ギャップを埋める「成り立ち」アプローチ
このギャップを埋めるには、まず「成り立ち」を知ることから始めましょう。
自社の「成り立ち」を理解する
自社の商品やサービス、組織体制がどのような歴史や変遷を経て今の形になったのかを深く理解します。「なぜこの部署が統合されたのか」「なぜこの商品が開発されたのか」など、経営判断の背景を探ります。
「転換点」に隠された意思を読み解く
組織や事業の「転換点」には、必ず誰かの「このままではダメだ」「こう変えるべきだ」という強い意思決定が働いています。その背景には経営者の「覚悟」と「ビジョン」が隠されています。
顧客企業の「成り立ち」を探る
「この部署はいつ頃、どのような経緯で新設されたのですか?」「このシステムは導入当初、どんな課題解決を期待されていましたか?」など、顧客の歴史と意思決定プロセスを理解します。
経営者の思考を"妄想"する究極のステップ
最後に、決裁者の心を本当に動かすための究極のステップは、「もし自分がその経営者の立場だったら、どう考え、どう判断するか?」を徹底的に"妄想"することです。
お客様の会社が過去に行った大きな意思決定について、その当時の状況や背景を調べ、自分がその立場だったらどうするかを考えます。この思考の"追体験"を繰り返すことで、経営者の思考回路や価値観、「判断のクセ」が見えてきます。
これにより、「この人ならこういうポイントに関心を持つだろう」と相手の反応を予測し、先回りしたコミュニケーションが可能になります。あなたの言葉は単なる提案を超え、相手の心に深く響き、「君の言う通りだ。一緒にやろうじゃないか!」という契約の言葉を引き出せるようになるでしょう。
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